行政書士が解説する相続手続きのイロハ 第2回 亡くなった直後〜14日以内にすること
この記事でわかること
死亡届・火葬許可の手続きと注意点
年金・健康保険・世帯主変更などの期限
この時期にやってはいけないこと
第2回は、亡くなった直後から2週間ほどの間に必要となる手続きです。葬儀の準備と並行して進めなければならないため、ご遺族にとって最も慌ただしい時期です。
まずはこの一覧で全体を確認
| 手続き | 期限 | 届出先 |
|---|---|---|
| 死亡届・火葬許可申請 | 7日以内 | 市区町村役場 |
| 年金の受給権者死亡届 | 厚生年金10日・国民年金14日 | 年金事務所等 |
| 健康保険・介護保険の資格喪失届 | 14日以内 | 市区町村役場/勤務先 |
| 世帯主変更届 | 14日以内 | 市区町村役場 |
死亡届と火葬許可
死亡診断書と死亡届は一枚の用紙
病院で亡くなった場合は医師が「死亡診断書」を、事故などの場合は「死体検案書」を作成します。これは死亡届と一枚の用紙になっており、死亡を知った日から7日以内に届け出ます。
届出先は、亡くなった方の本籍地、届出人の所在地、または死亡地の市区町村役場です。実際には葬儀社が提出を代行してくれることが多いでしょう。
ポイント|死亡診断書のコピーを複数枚とっておく
生命保険の請求などで後から必要になることがあり、提出してしまうと原本は戻ってきません。提出前に必ずコピーをとっておきましょう。
火葬許可証は納骨まで保管
死亡届と同時に「火葬許可申請書」を提出し、火葬許可証を受け取ります。火葬後に火葬場で証印をもらったものが埋葬許可証となり、納骨の際に必要です。紛失しないよう保管してください。
年金・健康保険の手続き
年金の受給停止
年金を受けていた方が亡くなった場合、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に受給権者死亡届を出します。ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されている方は、原則として届出を省略できます。
注意したいのは、死亡後に振り込まれた年金を受け取ったままにすると、後で返還を求められることです。
一方で、次のような受け取れるお金もあります。
- 未支給年金:亡くなった月までの年金で未払いのもの。生計を同じくしていた遺族が請求できます。
- 遺族年金:要件を満たす遺族が受け取れます。年金事務所で確認しましょう。
健康保険・介護保険
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、14日以内に資格喪失の届出をし、資格確認書などを返却します。介護保険も同様です。会社の健康保険に加入していた場合は、勤務先経由で手続きします。
あわせて、葬儀を行った方は「葬祭費」(国保・後期高齢者医療)や「埋葬料」(会社の健康保険)を請求できます。期限は2年ですが、忘れがちなので早めに申請しましょう。
世帯主変更届
亡くなった方が世帯主で、残された世帯員が2人以上いる場合は、14日以内に世帯主変更届が必要です。残されたのが配偶者1人だけ、というように新しい世帯主が明らかな場合は不要です。
その他の連絡・解約
公共料金(電気・ガス・水道)、携帯電話、クレジットカード、各種サブスクリプションなどは、名義変更か解約を進めます。運転免許証・パスポートなどの返納手続きもあります。
注意|借金が多いかもしれないときは要注意
亡くなった方の財産から高額な支払いをしたり、財産を処分したりすると、「相続することを認めた(単純承認した)」とみなされ、後から相続放棄ができなくなるおそれがあります。この時期の支払いや解約には慎重さが必要です(第11回で詳しく解説します)。
銀行口座の凍結に備える
銀行が口座名義人の死亡を知ると、口座は凍結され、入出金ができなくなります。公共料金の引落しも止まるため、引落口座の変更を早めに済ませておくと安心です。
凍結を恐れて死亡を伏せたまま預金を引き出すことは、他の相続人とのトラブルの原因になりますので避けてください。当面の費用が必要な場合には、遺産分割前でも一定額の払戻しを受けられる制度があります(第12回で解説します)。
まとめ
- 死亡届は7日以内。死亡診断書のコピーを忘れずに
- 年金・健康保険・世帯主変更は10〜14日以内
- 借金の可能性があるときは、故人の財産からの支払いに注意
次回は、相続手続き全体の方向を決める「遺言書の確認」について解説します。

