成年後見制度改正を読む ―【連載第7回 既存利用者はどうなるか——経過措置と移行の実務】

改正後の新制度が施行された時点で、すでに現行の後見・保佐・補助を利用している方はどうなるのでしょうか。今回は経過措置と移行の問題を取り上げます。

施行前から後見や保佐を利用している方については、希望すれば現行の後見人・保佐人による支援を継続できる経過措置が設けられる見通しです。つまり、施行と同時に全ての既存利用者が強制的に新制度に移行するわけではありません。これは制度の突然の変更による混乱を防ぐための配慮です。

一方、新制度への移行を希望する方については、家庭裁判所への申立てにより補助への移行や制度の終了申立てができる方向が示されています。「終身制で終われなかった」方にとっては、施行後にあらためて終了を検討できる道が開かれることになります。

実務上の注意点として、移行や終了のための具体的な手続き・要件は、法案成立後に制定される政省令や最高裁規則によって定められます。現時点では確定的な手続きを申し上げることはできませんが、施行後の実務に備えて情報収集を継続することが不可欠です。

行政書士として現在、後見・保佐・補助に関わっている場合、施行後の対応として考えられるのは次の点です。まず、既存の利用者やその家族に対して制度変更の概要を丁寧に説明し、移行を希望するかどうかの意思確認を行うことです。また、新制度への移行を選択する場合には、どのような権限設計(補助の範囲)が本人の現状に適合するかを検討し、必要に応じて申立書類の作成を支援することになります。施行まで2年以上ありますが、準備は早めに始めるに越したことはありません。