成年後見制度改正を読む ―【連載第6回 補助人を変えやすくなる——交代要件の柔軟化と本人保護】
今回の改正は法定後見(補助制度)の見直しが中心ですが、任意後見制度についても重要な改正が含まれています。行政書士が特に深く関わる領域ですので、丁寧に解説します。
任意後見制度とは、本人が十分な判断能力を有するうちに、将来判断能力が低下した際に後見事務を委ねる人(任意後見受任者)と具体的な支援内容を公正証書で定めておく制度です。法定後見と異なり、本人が自らの意思で後見人を選べる点が大きなメリットであり、行政書士は任意後見契約書の作成支援を重要業務の一つとしています。
ところが実務では、任意後見契約を締結していても、本人の判断能力が低下した後に、任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立てないケースが少なからず存在することが問題視されてきました。監督人が選任されなければ任意後見は発効しないため、せっかく公正証書を作成しても「宝の持ち腐れ」になってしまうのです。
今回の改正では、この「適切な時機に監督人選任申立てがされない」という問題を改善するための方策が盛り込まれています。具体的な仕組みは政省令等での整備となりますが、受任者への働きかけや、場合によっては第三者が申立てを促せる仕組みの整備が想定されています。
行政書士の実務においては、任意後見契約書の作成にとどまらず、受任者に対して「判断能力低下後には速やかに監督人選任を申立てること」を明確に説明し記録に残すことが、これまで以上に重要になります。また、定期的な見守り契約と組み合わせ、本人の状態変化を早期に把握できる体制を整えることが、実務的な対応として求められるでしょう。
